商標権を入口の表示などに使用する場合のトラブル

商標権を入口の表示などに使用する場合のトラブル

おもちゃ売り場の入り口のアーチに「おもちゃの国」という看板を掲げ、それが他人の登録している商品商標だった場合は商標権侵害にあたるかという問題については、おもちゃの国事件を例として考えることができます。

あるデパートがおもちゃ売り場を示すために、「おもちゃの国」という表示を階段やエスカレータの上に設け、おもちゃ売り場には「TOYLAND」の表示をし、天井からつりさげた彩色板や店内数か所の案内板に「阪急おもちゃの国」と表示したことに対し、「TOYLAND/トイランド」・「おもちゃの国/トイランド」という登録商標を所有する原告が商標権侵害で訴えたのがおもちゃの国事件です。

判決では、「おもちゃの国」・「TOYLAND」という言葉が言葉自体として幻想的な楽しい雰囲気をもつことと、これらの言葉を顧客に対しておもちゃの国に入るような印象をいだかせるためだけに使っているため、これらの言葉は特定の商品をアピールするためではなく売り場全体を示すために使っているとして、商標権の侵害を認めませんでした。

商標権を入口の表示などに使用する場合のトラブル2

同じように、「テレビまんが一休さん」という表示を記した箱に入ったカルタを販売していた業者Eを、「テレビまんが」という商標登録をもつ原告Fが訴えた事件でも、商標権侵害は認定されませんでした。理由は、「テレビまんが」という語が、テレビ放映用に製作された漫画映画を意味する言葉として普通に用いられていることと、問題のカルタがテレビアニメの「一休さん」をもとに作られ、そのキャラクターがテレビアニメに由来することを示しているだけであって、自他の商品を識別するしるしとしての商標として機能している訳ではないということでした。

この問題の判断基準となるのは、「商標」と「商標の使用」が何を意味するかという点ですが、商標法上の定義からだけでは商標の本質や商標使用の基準が明確になりません。現実にこれらの判例で問題になったのは、それぞれの標章がもつ識別力の度合いでした。「おもちゃの国」という言葉は幻想的なイメージを印象付ける面をもち、普通名詞である「おもちゃ」との関係が強いため、特定の商品を表示するという自他の商品の識別力が弱い商標であったことがポイントとなりました。従ってこれが「おもちゃの国」ではなく、もっと商品識別力が強い「トイザラス」であった場合は、当然判決が変わってくると考えられます。